全体動向
-
5/7(祝日明け)は米株安・円高を嫌気して反落。
-
5/9(金)は米株高や関税懸念の後退、円安進行で大幅続伸。
-
週を通じて為替(円高⇔円安)と米国の関税政策が日本株の方向感を大きく左右しました。
日別サマリー
5/7(水)|8営業日ぶり反落
終値:3万6,779円66銭(−51円03銭)
-
米株安・円高で輸出株に売り。
-
トランプ大統領が医薬品への関税導入を示唆 → 医薬品株が大幅安。
-
自動車産業の交渉膠着も重荷。
-
一方、米中閣僚級協議開催決定で一部買い戻しも。
-
TOPIXは9日続伸と堅調さを維持。
5/9(金)|大幅続伸・心理的節目回復
終値:3万7,503円33銭(+574円70銭)
-
米株高と円安進行(146円台)で輸出株が買い戻し。
-
米英貿易協定合意・米関税引き下げ観測 → 貿易摩擦後退の安心感。
-
自動車株や景気敏感株に幅広く買い。
-
TOPIXは11連騰(2017年以来)、海外投資家の買いが流入。
-
東証プライム売買代金は約5.7兆円と高水準。
初心者向け解説
1) 米中・米英の関税政策がなぜ株価に直結する?
-
日本の株式市場は、国内需要だけでなく輸出企業の収益に大きく依存しています。
トヨタやホンダ、ソニー、任天堂などの大企業は、売上の半分以上を海外に頼っているケースも少なくありません。
そのため、アメリカや中国といった主要市場での「関税の引き上げ・引き下げ」は、直接的に日本企業の利益に影響を与えます。-
関税引き上げの影響
例えばアメリカが「日本車に25%の関税をかける」と発表したとします。
すると、トヨタがアメリカで1台400万円の車を販売しても、100万円が関税として上乗せされ、消費者にとっては割高になります。売れ行きが落ち、結果的にトヨタの収益が下がる → 株価下落、という流れです。 -
関税延期や緩和の影響
一方で「関税は見送ります」と発表されれば、収益悪化のリスクが遠のきます。
投資家は安心して株を買いやすくなり、株価が上昇します。
つまり、関税は「企業の競争力や採算性を左右する非常に直接的な要因」であり、特に日本のように輸出依存度が高い国では、為替と並んで株価に影響を与える材料となりやすいのです。
今週はその典型例でした。
-
5/7:トランプ大統領が「医薬品に新しい関税を課す」と発言 → 武田薬品やアステラスといった医薬品株が売られ、市場全体の雰囲気も悪化。
-
5/9:一転して「米英が貿易協定で合意」「中国への関税を下げるかも」という観測 → 自動車株や景気敏感株が一斉に買われ、大幅続伸につながりました。
このように、関税政策は「業績の数字」に直結するだけでなく、投資家心理を一瞬で変えるスイッチの役割を持っています。短期的には発言だけで株価が上下することも多いので、初心者は「関税=企業の収益直撃」という単純な因果関係をまず押さえておくと、市場ニュースを理解しやすくなります。
-
2) 「連騰」が意味すること
株式市場では「連騰(れんとう)」という言葉がよく出てきます。これは株価指数が何日も連続で上昇することを指します。
例えば、TOPIXが5日連続で上昇すれば「5連騰」、10日続けば「10連騰」といった具合です。
連騰は一見すると「景気が良い」「株価が強い」といった前向きなニュースに見えます。
実際、TOPIXが9日、11日と連騰を記録したのは、日本株に資金がしっかり流れ込んでいる証拠であり、市場全体の強さを示しています。
しかし一方で、「連騰し続ける=買いが偏っている」という側面もあります。
株価は「需要と供給のバランス」で動きますから、連日買いが優勢ということは、どこかで「利益を確定したい」という売りが一気に出て調整(反落)しやすいのです。
実際に今週も7日には一度反落し、短期的に「熱がこもりすぎた」相場にクールダウンが入りました。
これは自然な流れで、決して異常なことではありません。
初心者は「株価が上がり続けても、どこかで必ず一度は息切れする」と覚えておくと安心です。
むしろ健全な相場では、上昇と調整を繰り返しながら階段を登るように成長していきます。
-
連騰のメリット:資金流入が強いサイン、市場心理がポジティブ。
-
連騰のリスク:短期的に過熱感が強まり、急落や反落を招きやすい。
したがって「連騰は強さの証」でもあり「一度の調整が近いサイン」でもある、という両面を持っているのです。ニュースで「○連騰」と聞いたら、「今は買いが強いけれど、いつ調整してもおかしくない」という目で見ると、落ち着いて相場を追えるようになります。
総括と今後の注目点
-
7日:円高と関税懸念で反落。
-
9日:円安と関税緩和期待で大幅続伸。
今週は「為替と関税ニュースがダイレクトに効く」展開でした。
来週の注目
-
5/9のFOMC結果とパウエル議長の発言 → 米金利動向が円相場に直結。
-
米中協議の続報 → 貿易摩擦が再燃すれば再び日本株の重荷に。
投資家はイベント前後の振れに備え、持ち高を調整しながら押し目を拾う戦略が有効と考えられます。
【翌週】2025年5月第2週の株式相場まとめ|米中関税協議の期待と円高警戒で「上げ一服」
【前週】2025年4月第4週の株式相場まとめ|日経平均7日続伸 関税摩擦緩和期待と円安が追い風