2025年4月第4週の株式相場まとめ|日経平均7日続伸 関税摩擦緩和期待と円安が追い風

DMM FX

全体動向

2025年4月第4週の東京株式市場は、日経平均株価が7日続伸し、1年8カ月ぶりの上昇記録を達成しました。
米国株高や円安進行を背景に、輸出関連株を中心に買いが入り、節目となる3万6000円台を安定的に回復しました。

特に、米中・日米の関税交渉が進展するとの期待感が投資家心理を支え、相場は強気基調を維持。米国のトランプ政権が一部で関税緩和の可能性を示したことも、リスク回避姿勢を後退させました。一方で、ゴールデンウイークの大型連休を控えた持ち高調整や、企業決算を見極めたいとの思惑から、上値はやや重い場面もありました。

この週の特徴は、

  • 関税交渉の進展期待が買い材料に

  • 円安・ドル高が輸出株を押し上げ

  • 主要企業の決算発表や自社株買いが相場を支援

  • 連休を前に戻り売り・持ち高調整の売りも散見

といった点です。

TOPIXやJPXプライム150指数もそろって続伸し、東証プライム市場の売買代金は5兆円を超える日も出るなど、商いは活況を呈しました。全体的に「関税交渉への期待」と「国内決算シーズン」が市場の主役となった週でした。

日別サマリー

4/28(月)― 日経平均4日続伸、3万6000円に迫るも伸び悩み

日経平均株価は前週末比134円25銭高の3万5839円99銭で取引終了。米ハイテク株高や企業決算を背景に買いが先行し、一時300円超の上昇で3万6000円を突破しました。
しかし、戻り待ちの売りに押され、午後は伸び悩み。信越化やコマツの自社株買い発表が好感され、豊田織のストップ高も話題に。
ただ、日米関税協議を控え様子見ムードが広がり、中長期投資家は慎重姿勢を維持しました。

4/30(水)― 日経平均5日続伸、1カ月ぶり高値

終値は205円39銭高の3万6045円38銭。米株高の流れを受け、日経平均は5日続伸で3月末以来の高値に。
背景には、トランプ政権が関税緩和に前向きな姿勢を見せたことや、日米協議(5/1予定)への期待感がありました。
国内ではソニーGの半導体子会社スピンオフ報道が株価を押し上げ要因に。TOPIX、JPXプライム150も6日続伸し、売買代金は5兆円超と活況。

5/1(木)― 米日株ともに堅調、ただし様子見も

日経平均は205円高で続伸(前日と同水準)。トランプ政権との関税交渉進展期待が支えとなり、投資家心理は改善。
ただ、自動車関税や農産品を巡る交渉は難航が予想され、様子見も増加。
国内ではTDKが好決算で買われ、商船三井・郵船などは売られるなど決算に左右される展開。米株市場もダウが7日続伸し、世界的に株価は強含み。

5/2(金)― 日経平均7日続伸、1年8カ月ぶりの長さ

終値は378円39銭高の3万6830円69銭。7日続伸は2023年8月以来の記録。米株高や円安(ドル高)が追い風となり、輸出関連株を中心に買いが優勢。
一時500円超の上昇もありましたが、ゴールデンウイーク前の持ち高調整で伸び悩み。
日米関税交渉は「突っ込んだ議論ができた」とされ、摩擦緩和期待が投資家心理を押し上げ。テクニカル的には「窓埋め」が進み、売り方の買い戻しを誘いました。


初心者向け解説

1) 「関税」と株価の関係

日本経済は輸出依存度が高く、自動車・半導体・精密機器など世界市場での売上が企業収益を大きく左右しています。
ここで大きな影響を持つのが「関税」です。関税とは、国境を越えて輸出入される商品にかかる税金のこと。
輸出先で関税が引き上げられれば、日本企業の商品は相手国で割高になり、価格競争力を失います。
つまり「関税=企業にとってのコスト増」となり、直接的に利益を圧迫します。そのため、株価にとっても重荷になりやすいのです。

一方で、関税が引き下げられたり、発動が先送りされたりすると、輸出企業にとっては大きなプラス材料になります。
「価格競争力が守られる=利益改善の余地が広がる」ため、株価にとって追い風となるのです。
投資家はこのシンプルな因果関係を常に意識しており、関税交渉の報道や大統領の発言に即座に反応します。

実際、この週の市場では、トランプ大統領が「医薬品への関税発動を検討」と発言すると医薬品株に売りが広がりました。
一方で「欧州への関税を7月まで延期」といった報道が出ると、安心感から株式市場全体が買われました。
このように、関税に関する一言が市場のムードをガラリと変えてしまうのが現実です。

投資家心理は非常に敏感で、「交渉進展=株高期待」「交渉の膠着=売り要因」と受け止められる傾向があります。
特に今回のように日米や米中といった主要国間の交渉は、世界経済全体を左右するため、日本株も大きく揺れ動きました。
株価がニュースに「一喜一憂」する背景には、こうした輸出依存構造と関税の直結性があるのです。

  • 関税引き上げ → 企業のコスト増 → 株価の重荷

  • 関税緩和・先送り → 輸出企業の利益改善 → 株価の追い風

2) テクニカル用語「窓埋め」

株価チャートでは、前日の終値と翌日の始値に大きな価格差(ギャップ)が生じると、その空白部分を「窓」と呼びます。
相場の世界では昔から「窓は埋めにいく」という言葉があり、一度開いた窓は時間の経過とともに株価が上下して、その空白を埋めに行くケースが多いとされています。

例えば、悪材料で株価が大きく下落した場合、一気に安値で寄り付いて窓が開きます。
しかし、後になって売りが一巡し、投資家が「売られすぎ」と判断すれば買いが入って価格が戻り、空いた窓を埋めに行く動きが起きやすいのです。
逆に、良い材料で株価が急騰して窓を開けた場合も、利益確定売りなどで一度下げて窓を埋めに行くことが珍しくありません。

5/2の東京市場では、まさにこの「窓埋め」が意識されました。3月末の急落相場で空いた複数の窓のうち、3つ目までが埋められたことで、売り方(空売りをしていた投資家)が買い戻しに動きました。これは、テクニカル的に「一旦の節目を達成した」と見る市場参加者が増えたためです。
売り方の買い戻しは相場を押し上げる力になるため、この日の株価を支える要因となりました。

初心者の方は「窓埋め」という現象を知っておくだけで、株価が一方向に動いた後の反発や調整を予測するヒントにできます。
ただし、すべての窓が必ず埋まるわけではなく、強いトレンドが続く場合は窓を開けたまま上昇(または下落)を続けることもあります。
ポイントは「窓が埋まると投資家心理に安心感が生まれやすい」という傾向を理解しておくことです。


総括

4/28〜5/2の東京株式市場は、米中・日米の関税交渉の行方と、国内決算・円相場が主役。米株高や円安の追い風もあり、日経平均は7日続伸と強気相場を形成しました。
ただし、連騰による過熱感や大型連休前の持ち高整理もあり、上値はやや重い展開。
 投資家心理は強気と警戒が交錯する状態で、「関税交渉の結果」が今後の大きな方向性を決める鍵となります。

【翌週】2025年5月第1週の株式相場まとめ|米中協議期待と円相場の変動で乱高下
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