日経平均株価が急反落、米中貿易摩擦激化で投資家のリスク回避が優勢
9日の東京株式市場では、日経平均株価が急落し、終値は前日比1298円55銭(3.93%)安の3万1714円03銭となった。この急落は、米中貿易摩擦の激化懸念や米相互関税の発動による景気下押しへの警戒感が背景にある。投資家の間でリスク回避の売りが優勢となり、円高・ドル安の進行も投資家心理に重しを残した。日経平均の下げ幅は一時1700円を超えるなど、市場全体が強い売り圧力に見舞われた。
トランプ米政権が世界各国に課す相互関税が発動したことも、市場の不安を増幅させた。日本には計24%、中国には累計104%の関税がかけられることとなり、これによる世界景気の下押しへの懸念が高まった。東京市場では、幅広い銘柄に売りが出て全面安の展開となり、投資家の不安が高まった。
中国側も「最後まで戦う」として、さらなる報復を示唆しており、米中貿易摩擦が一層激化する可能性が指摘されている。この影響で、中国関連とされる銘柄への売りも目立った。さらに、外国為替市場でも円相場が1ドル=144円台に上昇し、円高・ドル安が進行している。
日経平均の大幅安は、朝方から始まり、米中対立の激化を警戒した売りが株価を押し下げた。ただ、前引けにかけては押し目を拾う動きも見られ、下げ幅を縮める場面もあった。いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、「日本株は数字だけで見れば割安だが、不確実性が高まる決算発表シーズンを前に、投資家の心理が安定しない」と述べ、今後も関税に関するニュースが市場に影響を与える可能性があると指摘した。
東証株価指数(TOPIX)も大幅に反落し、終値は82.69ポイント(3.40%)安の2349.33となった。JAPAN PRIME 150指数も同様に下落し、36.88ポイント(3.46%)安の1027.93で取引を終えた。
東証プライムの売買代金は5兆5295億円となり、売買高は27億5165万株となった。値下がり銘柄が全体の約9割を占める中、アドテストやファストリ、リクルートが下落し、一方で日製鋼やJR西日本、イオンが上昇した。
9日の東京株式市場は、米中貿易摩擦を巡る不透明感が高まり、投資家のリスク回避が強まった日となった。今後も世界経済の動向や米中関係の進展が注目される中、株価の動向には一層の注意が必要とされている。
(参考:日経QUICKニュース(NQN))