11日の東京株式市場では、日経平均株価が3日続伸し、終値は前日比4円65銭(0.01%)高の3万9372円23銭となった。この日の相場を支えたのは、日銀の追加利上げ観測がくすぶる中で銀行や保険、重工などへの買いが入ったことだ。一方で、半導体市場に対する楽観的な見方が後退し、アドテストなど半導体関連の株は軒並み下落し、相場の重荷となった。
金融株や重工株の上昇が目立ったこの日、日銀が発表した11月の企業物価指数が前年同月比で3.7%上昇し、23年7月以来の高い伸び率となった。このデータを受け、市場では日銀が来週の金融政策決定会合で追加利上げを決めるとの予想が根強く、金融株に物色が向かった。特に金利上昇が追い風となりやすい金融株には三菱UFJなどが注目された。
この日は、防衛力強化の財源として法人税やたばこ税、所得税の増税が政府案として判明した。また、法人税に関しては2026年4月以降、新たに税率4%を付加する防衛特別法人税(仮称)が開始されることも明らかになった。このニュースを受け、重工株では川重が10%を超える上昇を見せるなど、買いが集まった。一方、個別銘柄ではソニーグループが株式分割を考慮した上場来高値を更新し、好調な動きを見せた。
しかし、アドテストや東エレク、ディスコなどの半導体関連株は軒並み下落した。前日の米国株式市場でも半導体関連銘柄が下落し、台湾積体電路製造(TSMC)が11月の月次売上高が前月比でマイナスとなったことで、楽観的な見方が後退した。日本市場でも半導体関連株が売られ、日経平均株価は前場に250円ほど下落する場面もあった。
東証株価指数(TOPIX)は3日続伸し、終値は前日比7.90ポイント(0.29%)高の2749.31となった。JPXプライム150指数も3日続伸し、1.92ポイント(0.16%)高の1221.30で取引を終えた。
この日の東証プライムの売買代金は概算で3兆8412億円であり、売買高は17億703万株だった。値上がり銘柄数823、値下がり銘柄数750、横ばい銘柄数71であった。
個別銘柄では、ファストリ、スズキ、KDDI、キッコマンが上昇し、一方でソフトバンクグループ(SBG)、信越化、ダイキン、TDKが下落した。市場の動向や企業の業績に注目が集まる中、株式市場は依然として不安定な展開が続いている状況だ。