29日の東京株式市場では、日経平均株価が反落し、終値は前日比141円03銭(0.37%)安の3万8208円03銭となった。前日に上昇が目立っていたハイテク株の一角である東エレクなどが値を戻し、待ちの売りが出たことや、外国為替市場での円高・ドル安進行を受けた輸出関連株の下落が相場全体に影響を与えた。午前中には下げ幅が300円を超え、3万8000円を下回る場面もあったが、その後は押し目買いが支えとなり、下げ幅が縮小して終了した。
円相場は一時1ドル=149円台後半と、10月下旬以来の約1カ月ぶりの円高・ドル安水準を記録した。朝方に発表された11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る上昇率を示し、日銀の早期利上げの可能性が意識され、円買い・ドル売りの動きが活発化した。円相場の上昇に合わせて、自動車メーカーのトヨタや日産自動車なども売り圧力を受けた。
一方、3万8000円が強い下値支持水準として注目されており、朝の安値後には底堅さが見られた。3月期決算企業が中間配当金を再投資する動きや、米株価指数先物の堅調な推移も相場を支えた。円高が業績面で好影響をもたらしやすい内需株の上昇も目立った。
東証株価指数(TOPIX)は下落し、終値は2680.71ポイントで6.57ポイント(0.24%)安となった。JPXプライム150指数も下落し、1185.72で6.17ポイント(0.52%)安で終了した。東証プライムの値下がり銘柄数は931に対し、値上がりは663、横ばいは49であった。
売買代金は概算で3兆5973億円であり、売買高は16億2460万株だった。米国では28日が感謝祭の祝日で市場が休みであり、29日は株式や債券、商品市場が短縮取引となった。欧米のホリデーシーズンが本格化する中、海外投資家の売買参加は少なかった。
この日の株価では、キッコマンやバンダイナムコホールディングス、ソニーグループなどが下落し、一方でソンポジャパンや第一生命ホールディングス、NTTデータなどが上昇した。28日の米国株式市場は休場だったことも相場に影響を与えた。
今回の東京株式市場の動向は、円相場や企業業績、外部市場の影響など複数の要因が絡み合い、投資家にとって注目すべき展開となった。今後も国内外の経済情勢や政治的な動きに注目しつつ、市場の変動に柔軟に対応することが求められるだろう。